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ユーカリが丘ニュータウンを見る-1

2017.01.05

■プロローグ
新年おめでとうございます。今年も素晴らしい年でありますよう祈念致します。

さて、近年のランドスケープ作品を老骨にムチ打ちながら見て来ましたが、今回はスケールを大きくして「ニュータウン」の探索に行ってきました。とは言え「多摩NT」等は大きすぎて全貌が見えないので、東京テレビの人気番組「サンブリア宮殿」でも紹介された「ユーカリが丘」を探訪する事にしました。

■ユニークなニュータウン「ユーカリが丘」
千葉県佐倉市にある「ユーカリが丘」は1971年にデベロッパーの山万が開発を始めたプロジェクトで、山万が住民側のニーズに立ち一緒になって築いてきたニュータウンである。一般的に売ってしまえば終わりの「分散撤退型」から「成長管理型」という新たなコンセプトを導入し、ニュータウンの経営・管理を一体的に進める仕組みを作り出した。現在7,000世帯の人口を有するまちであるが、40年もの間開発を少しずつ進める事で居住世代を分散させ、さらにニュータウン内で容易に住み替えが行える総合的なシステムを構築している。そして「福祉のまち計画」「ビオトピア街区」など時代の要請に合わせたまちづくりを現在進行形で進め、まさに時代と共に歩んでいるニュータウンと言える。

■モノレールの風景
今回この、「ユーカリが丘」をランドスケープデザインの視点から探訪すべき北風の吹く寒い日に行ってきた。まず京成本線ユーカリが丘駅で下車。ここから山万が運営するモノレールでニュータウンを一周できるが、一駅歩き「地区センター」から乗車する事とした。ユーカリが丘駅から地区センター駅までの大規模ショッピングセンターは現在ほとんどの店舗が閉鎖中で,いきなりバラ色のニュータウンのイメージが狂う。しかし建築内が歩けるので雨の日の通勤通学には便利であろうと気を取り直し地区センター駅へ。駅でモノレールを待っていると、二車両編成の可愛らしい列車「こあら3号」が到着。ちなみに土曜日は20分間隔であった。

まず車窓からニュータウンの様子をうかがう事とした。しばらく進むと、線路内側に里山風景が展開。しっかり耕された畑の後方に色濃い「みどり」の空間が見え、生産緑地としての風情をかもし出している。資料によればモノレールの内側は元々あった地域の里山コミュニティを残し、外側のエリアを開発したと書かれていた。そこにどの様な風景が広がっているのかと思ったが、これだけの規模で整った美しさは想像も付かなかった。

「中学校」という名の駅で下り、早速里山の内側を探訪する事とした。まずは、お稲荷さんにご挨拶し集落の中へ入り込む。車がすれ違えない狭い道が曲がりくねり、屋敷が点在する日本の典型的な里山の姿が連続する。どの家も風格があり、手入れも良くされていて美しく、住み手のプライドが伝わってくる。中には屋敷林もあり庭園の美しい大豪邸の構えもある。みちを奧に進めば進む程自然度が増し、時間まで逆転して私達が子供の頃に出会っていた日常のような風景が次々と展開してくる。

しかし懐かしさを感じながらゆっくりと歩いたのに誰にも出会わない。地域コミュニティの濃い空間に勝手に他者である私が入り込んでいる感覚もあり、少々落ち着かず心苦しくもあった。近代化された首都圏では体験出来ない里山エリアを新住民はどう捉えているのであろう。起伏もあり風景の変化も面白く、散歩にもってこいのコースなのだが、あまり使われていない様子で本当に勿体ない。とにかくおいしい空気と風景を満喫して外側に広がるニュータウンに戻る事にした。

戸田芳樹

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