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名古屋 徳川園を訪ねる-1

2018.06.07

■プロローグ
徳川園を訪ねた。堂々とした黒門と呼ばれる薬医門をくぐると右に徳川美術館、左に徳川園の濃い緑が見えて来る。広々とした清々しい空間であるが、広場は幾何学的な四角のデザインが繰り返され、なぜか心に響いてこない。

徳川園は昭和の巨匠:伊藤邦衛の最後の力作、2005年(平成17年)に完成した。私は2005年愛・地球博のランドスケープディレクションに携わり、お互い同じ時期に工事が進んでおり、作庭途中に見学もさせていただいた。また、このプロジェクトは公開のコンペで、私も参加したが、力不足で残念な結果に、それ故興味を持ち続けていた。

徳川園は伊藤の全てを出し切った雄大なスケールと、細かなディテール、そして自分の好みを所々さり気なく入れた「伊藤ワールド」満開の作品である。まず入口から廻遊してみよう。

■徳川園は高い地点から進む
入口部は高所にあり、だんだん下りながら池の中心部に進む構成を取っている。まず、入口部の池これは結界の役割を持ち、橋を渡ると樹林に囲まれた異次元の世界が前方に見えて来る。橋からは左手下方にわずか池(龍仙湖)の一部が見え、庭園が待つ奥行きの深さを表現している。さらに進むと2つ目の橋(虎仙橋)があり、下方に園路と流れが見る立体的な構成を取っており、いずれ廻るシークエンスを予想させる工夫をしている。既存の地形と大木を保全した林地を進んで行くと、左手の丘に四阿(四睡庵)が見え庭園の東端部に達する。

このエリアが水の物語が始まる庭園の最高地点で園路に従って下ってくると、「大曽根の瀧」と名付けた三段落ちの大きな滝が出現する。滝のデザインはまず「直落ち」から始まり、次はきめ細かな「小伝え落ち」となり、続いて大きく角度を変えた大振りな「大伝え落ち」が見られる。しばし佇み、昭和の名匠の作品を観賞する。高木に囲まれた少々暗い空間なので落水は周りから浮き上がって見え、水音の効果も大きく伊藤会心の作と感じた。まるで伊藤の笑顔が目に浮かぶようだった。

戸田 芳樹

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