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港北ニュータウンのグリーンストラクチャーを歩く-1

2018.08.31

■プロローグ
戦後多くのニュータウン(以降“NT”)が作られたが、ランドスケープデザインを語るには港北NTの存在を見逃す事は出来ない。当時、NTのプロジェクトは都市計画家が構想・計画を立て、土木技術者が造成とインフラストラクチャーを受け持ち、建築家が中心施設等の建築設計を、最後に造園家が公園や外構、植栽を設計する進め方がほとんどであった。

それが住宅公団(現:(独)都市再生機構UR)が開発した多摩NTの辺りから変化が起き、ランドスケープアーキテクトをプロジェクトの初期段階から起用し始めた。その結果、多摩NTのインフラは歩車分離を徹底させ、緑に包まれた安全な歩行者専用道を作り出した。この道は住宅ブロックにスムーズにアクセス出来、公園や緑地も含めてネットワークを組み込んだ利便性の高い優れものであった。

後発の港北NTでは計画基盤のインフラストラクチャーに重ねる様に、自然の要素がふんだんに入ったグリーンストラクチャーを導入、自然環境システムと人間の行動システムを等価のものとして空間化している。この先端的な計画理念は最近「グリーンインフラ」と命名され、21世紀型環境都市への切り札と称されている。しかし今から30年近く前、はるかに現実的なシステムが港北NTで実現していた事を私達は学ばなければならない。

このグリーンストラクチャー計画に参加した計画担当の曽宇厚之、ランドスケープデザイン担当の上野泰によるチームが新しい世界を切り開いた。二人は都市計画、土木、建築家とコラボレーションを進めて自然の地形、植生を保全した上で明快なグリーンネットワークを構築した。NTの様な大規模開発の時間的推移は住宅が建てられ、人々が住んで生活が根付き、初めて「まち」という名が付く事になる。その「まち」にまで成熟した港北NTのグリーンストラクチャーをランドスケープアーキテクトの目で探訪してみたい。

■グリーンストラクチャーを歩く
港北NT南側のセンター南駅からスタートする歩行者専用道のネットワークに従って歩く事とした。センター南駅の広場はかなりの広さを有し、自由に動ける通路動線の広場と高低差を付けたイベントの広場に分かれており、多くの人々が利用していた。しかしこの様な日本の広場には教会等のシンボルとしての建築が無く、商業施設はあっても表層的で何故か空虚で落ち着かない。

気を取り直して、地図で確認した「せきれいのみち」から茅ヶ崎公園を経て、「ささふねのみち」「鴨池公園」を一回りするグリーンストラクチャーを進む事とした。

「せきれいのみち」までの道のりも見どころが多々ある。両側が低層住宅の道は煉瓦とインターロッキングでデザインされ、皿形にした側溝はエノキ並木とのバランスが良く美しい。さらに進むと立派な門構えの寺院が望まれる。新しいまちに歴史的な風情は好ましく、道には重厚な石ベンチと大樹、さらに寺院に向かう軸線を舗装で表現し、まちの辻としての役割を充分果たしている。

戸田 芳樹

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