[本文はここから]

港北ニュータウンのグリーンストラクチャーを歩く-3

2018.08.31

■「ささぶねのみち」を行く
茅ヶ崎公園を経て「ささぶねのみち」に入るとガラッと雰囲気が変化する。ここは谷戸部ではないせいか、カラッと明るく施設も軽くなり、重みのある「せきれいのみち」と比較すると立体的にデザインが見える。ここの水の表現は流れと言うよりは小さな運河で、アーチ橋がよく似合う。広がりを感じる明るい空間が続くのでほっとする。

さらに進むと流れと園路に雑木林が絡み、少しばかりの勾配を登って行くと、路に接した公園に面白い空間の休憩スペースを発見。大振りの割った石を立て、その頂上部からワイヤーを各々の石につないだ不思議な造形で、下部は長い石のベンチを設置している。今までの文脈からどの様な意味を持った施設かわからないが、確かにインパクトはある。

子供の歓声が遠くで聞こえ、そちらに向かい歩を進める。園路と流れのバランスが美しい路の先に子供達の遊び場「鴨池公園こどもログハウス」が見えてきた。木の間隠れに見える木造の建物と、少し苔むした石畳、軽やかに流れる水の音、それら全てを包み込む樹林、とても人の手で作ったNTのものとは思えない。さらにその先の「鴨池公園」まで足を伸ばすが、ここでは自然を満喫できる仕掛、樹林地、草地、池があり満足度は申し分ない空間が連続している。「鴨池公園」から引き返し駅方面に向かうがまだまだ見どころが満載である。

ここまでの路と流れと周辺の柔らかな曲線デザインを見てきたが、直線の路も植物でエッジを柔らかくすれば凜とした風情が表現できる事に気付いた。「ささぶねのみち」も終点に近くなり、一般道路と接する空間を色々と工夫しているので紹介したい。まず出会うのは路に流れていた水を約5m低い下の道路に落とす装置であった。そこには集めた水を溜める丸池を作り、そこを通過した流水は滝となって道路部に落水し、歩道脇の水路を流れていく。この水路が面白く、急な歩道の勾配に対して天端をほぼ水平にする事で、必然的に壁面の高さに変化が生じ、ノスタルジックな風景となっている。そして下池への落水部もこだわった作りをしており作者の細かな配慮が感じられる。上の路と下の路をつなぐ階段や方形の池も、ひとつひとつにデザイン魂が入っており、見れば見る程、学ぶ事が多かった。

■エピローグ
港北NT南地区を一回りして、私は以下の様な感慨に浸った。よくぞ30年程前にこの様な計画が出来たなと。ジャンルを越えたプロ集団が理想を目指して、様々なドラマを経て作り上げた事が現地を歩いてよく解った。ここは「場」に対するリスペクトを強く持ち続け、それが作品に昇華したプロジェクトである。土木がならして建築を建て、造園が隙間にみどりを植える、それまでの開発手法とは次元の違うプロジェクトであった。日本では今後この様な大規模プロジェクトは少ないだろうが、ここで得た思想や技術を他で援用すべきである。ある意味、日本のランドスケープデザインの先端を表現したもの。若きランドスケープアーキテクトには是非見ていただきたい作品である。

戸田 芳樹

[ここからはカテゴリ内ナビゲーション]

NEWS

  • 株式会社 戸田芳樹風景計画
  • 〒151-0053 東京都渋谷区代々木1-36-1ミユキビル3F  Telephone:03-3320-8601 / Facsimile:03-3320-8610
  • COPYRIGHT © Yoshiki Toda Landscape & Architect Co.,Ltd. All Rights Reserved.