公園・緑地
2025/1/14
尾道市 U2 オリーブ広場
久しぶりに尾道の商業施設「ONOMICHI U2広場」を訪ねた。この地は尾道水道という川の様に細長い海に隣接し、海運の拠点としての役割を担ってきた港であった。しかし、輸送の主体が海運から陸上輸送に転換、次第に港として使用されなくなり、倉庫だけを残して機能は停止してしまった。しばらくそのまま広島県が管理していたが、数棟ある倉庫の中で2号棟を「みなとオアシス構想」の一環として官民が連携、2010年に商業施設として再生して今日に至っている。
当社は隣接する広場の計画に参加し、人々が賑わうウォーターフロントに木製のデッキを階段上に立ち上げ、海のきらめきと尾道市のシンボルである高見山を軸線上に取り込み、印象的な風景をつくり上げた。中央部に台座を置き、舞台やベンチとして使うデザインとした。そして、オリーブを象徴的に植栽し求心的なランドマークとなっており、オリーブ広場とも呼ばれている。軸線を強調するために赤花のサルスベリを直線的に植栽し、尾道の長い夏に色どりを添えている。
今回の来訪の目的は、2023年に広場へ設置された彫刻「立ち止まる人」を確認することであった。具象と抽象の中間のような表現をした陶器の作品は、不思議さをまといながら妙に空間に馴染んでいた。この広場は暖かい質感を持ったウッドデッキ舗装でありながら、少々幾何学的なデザインに冷たさが感じられた。ここに彫刻を挿入したことで一気に血が通い出し空間が生き生きとしてきた。まさに彫刻が持つ力が広場のイメージを変えた素晴らしい事例ではないだろうか。
利用者の動きを見ていると、子どもは必ず彫刻の方に走っていくし、大人もそれに付いて行く。静的な広場が動的な空間に一気に転換し、楽しくアクティブな風景が見られる場になった。また、思わぬ効果として広場北に隣接する国道と分断されていた景観が、彫刻の頭が見えることで相互の繋がりができ、通行者の視線を集めることとなった。
願わくはこの広場をもっと様々なイベントや集会に使っていただき、市民や観光客の出会いの場として末永く活用していただきたい。
戸田 芳樹

U2の建物と広場(写真:西川氏提供)

デッキ最上部に納まった彫刻

不思議そうに彫刻を見る子ども

中央ステージとオリーブと尾道水道

人のぬくもりが広場の空気を和らげる

国道側から彫刻の頭部が見える









