街
2025/1/13
下関市 やすらガーデンのランドスケープ
2020年9月からスタートした下関市安岡地区の複合施設が2025年1月13日、下関市長をはじめ国会議員など多くの来賓を迎えて開館した。元々この地は、1958年「農業試験場」として設立、1973年には整備を広げ「園芸センター」として、花とのふれあいや農の体験などを市民に提供してきた。施設の老朽化などの諸事情により事業転換を図り、公民館・支所・図書館・講堂・園芸棟などを設けるとともに、民間の活力を活用して、低層住宅、喫茶室、保育所なども設けた総合的な計画を立てた。「やすらガーデン」の名称は一般公募され、安岡小学校の4年生の命名、緊張した面持ちの表彰式の児童はとても可愛かった。
さて、当社はランドスケープデザインで貢献したとともに、コンセプトづくり、全体のマスタープラン、特に建築のサイトプランを提案したことを述べておきたい。下関市は本州の最西端にあり、日本海も眺められる計画地は西への軸(夕日の軸)を意識したプランが相応しかった。計画のプロセスで建築事務所との意見調整が手間取ったのは、ランドスケープ事務所が建築のサイトプランまで提案してくるとは彼らには予想外だったからであろう。
ここでのランドスケープデザインの魅力は中央に開いた大きな芝生広場の存在である。建築施設を芝生広場の周辺に設置し、施設は広場に向かって開放感を持たせ、人の出入りもスムーズにした。芝生が根付く夏頃には子供たちにとって芝生広場は楽しい遊び場になるであろう。唯一、残念だったのは残土処理のため芝生広場を高くした結果、周辺住宅との繋がりが悪くなったことである。
広場のオープンな感覚は建築内部にも持ち込まれ、玄関から入ると大規模なアトリウムに迎えられ、西側を全面ガラスにして入る光が効果的であった。また、2階に上がる階段の上から振り返った室内景観は、光とみどりにあふれた素晴らしい空間となった。建物は本館、園芸棟、喫茶室、保育所が芝生広場を囲むように配され、芝生が青くなり樹木の葉が茂れば一連の建築群は一段と美しい風景になるであろう。新しい施設に子供たちは目を輝かせ、年配の方々もゆっくり休む姿を見ると、この計画に携わった設計者としての喜びが溢れてくる。
今後、建物の2階からデッキで繋がった公園部の工事も始まるので、これからも頑張らなければならないプロジェクトである。
戸田 芳樹

施設の入口周辺

次計画の公園を結ぶ施設からのデッキ

施設前のランドスケープデザイン

建物のデッキと後方は芝生広場

本屋前の遊びのスペース、後方に園芸棟

本屋と保育所と芝生広場

アトリウムを2階より見る









