日本庭園
2025/8/2
日本庭園が美しい「めいわの杜」を訪ねる-1
8月の初め、群馬県明和町の「めいわの杜」を訪問した。JR宇都宮線久喜駅から東武伊勢崎線に乗り川俣駅で下車、ここからタクシーで10分程。都心から少し遠く時間も掛かるが、美しい建物と庭園、美味しい料理に出会える価値の高い「めいわの杜」を体験した。
この地の住人であった神谷氏は平将門追討で名を残した藤原秀郷を祖とする名家で、代々名主を務めていた。しかし神谷氏が転居することとなり、その歴史遺産とも呼べる家屋が消滅しそうになった。それを現代に蘇らせたのが私の友人で造園家:稲田裕佳・真実夫妻の蕎麦と日本庭園のプロジェクトであった。稲田さんとは埼玉県朝霞市のプロジェクトで、毎年大規模な竹のオブジェを依頼、さらにランドスケープアーキテクト連盟(JLAU)が主催した、2023年11月IFLAのアジア大会の会場演出もお願いした仲である。
「めいわの杜」は日本民家でいただく「お蕎麦」と、静かな雰囲気を楽しむ「蔵カフェ」、そして民家を挟んだ2つの日本庭園が呼びものである。ここでは、この2つの日本庭園について語ってみたい。
■入口部
入口部は、ゆったりとした余裕のある空間で駐車場も兼ね、入口は焼板の壁に薄いフレームをかけた軽快でスタイリッシュなデザイン。園路は幅広く緩やかに曲がっているので、先まで見通せず期待が高まる。ランドマークとなる石燈籠は韓国の風情を漂わせているが、稲田氏がデザインしたオリジナルな作品。季節がら焼いた黒板塀からサルスベリの花が美しく浮かび、とても良く似合った風景が見られた。民家に向かう石畳の線形は美しく、芝生の丘で左右のバランスを取り歩く気持ちが前に前にと進んで行く。
■南庭
店に入ると南側に庭園が広がる。燈籠、石組、橋、モミジと日本庭園の要素が入っているが、建物に対して水面が低く感じられる。話を聞くと湧水を使っているので、この高さになったとの事。公園などで水を使用している施設でありながら水が出て無いケースを見掛けるが、管理費の負担により止めるケースが多いそうだ。ここでは自然に湧いた水を使っているので継続できるし、季節による水位の変化も見られる。
橋を渡り中心にある蔵に進むと、屋内はひんやりとした喫茶室があり、あたかも包まれたような気持ちになる。心地良い蔵から庭園に出ると、目前に池に接した外部の休憩スペースが現れる。背後は石積で土を押さえ、屋根は稲田氏の得意とする竹細工の造形。軽やかな上に、祝祭性も感じられる空間は新しい日本庭園を予感させる。南庭には様々な伝統的様式をモダンにした造形物が現れ、飽きることのない空間が楽しめた。 <つづく>
戸田 芳樹

端正でモダンな入口門とオリジナルな石燈籠

正面に家屋、左に日本庭園、バランスの取れた美しさ

蕎麦店舗の入口は緻密なデザイン

部屋と縁側をバックにした燈籠と小舟がポイント

店の中から南庭を見る。橋と燈籠のバランスが絶妙

橋を渡って蔵に進むアプローチ

橋と池の背景に店が見える

縁側で談笑する稲田氏(右端)









