日本庭園
2025/7/29
中国海南島で日本庭園を作庭
海南島は中国の最南端に位置し、リゾート地として人気の高いエリアである。中国内ではゴルフ場の開発は規制されているが、ここではプロツアーも開催されているほど優遇されている。
今回の計画地は空港から近く、自然にも恵まれたエリアにあり、分譲住宅やホテル、スポーツ施設など、一般的な高級リゾート地といえる施設を整備している。依頼された屋上庭園は斜面に組み込まれ、屋上部の地盤はホテル・リゾートマンションと同じ高さでつながっている。ここに、本を読みながら静かに滞在できる喫茶室を設け、そのアプローチと庭園をデザインする計画を受け持った。
オーナーは京都のまちのたたずまいや日本庭園が大好きで、日本美を表に出し、さらにモダンすぎないデザインをイメージしていた。私は最近、日本や海外で作られる日本美をベースとした石組のデザインが気になっていた。それらの庭園は石を組んではなく、形や表情の良い石を並べるだけのものが多く見られたからだ。
石組の真骨頂は次々と石を組んで構成することで、ベテランの庭師は一度組んだ石は動かさず、次の石、また次の石でバランスを取りながら作業を進めたものである。しかし、最近見られる石組は1石ずつ置いたり、工場で切ったり磨いたりした製品のような石を使い、古来の石組とは別のものになったと私には思えた。
今回私は原点に帰り、石を組むことを主眼として作庭をすすめた。テーマは「九山八海」。中国の東端に位置するこの地からは理想の島「蓬莱島」が遠望され、さらに遠く借景の山並を取り込み、理想の世界をつくろうとした。だから、手前には聖獣の鶴島と亀島をセットで置き、蓬莱島を崇める構図としている。
石は江西省のストック場から、比較的表情の良い石を得ることができた。修景木は松が暑さで使えない為、マキの仕立物を用い、コケも無理なので良く似た地被を使いアンジュレーションの山をつくった。
今年1月にオープン、評判が良く有名人がインスタなどで取り上げるので、さらに人々が関心を持つようになった。中国の親日的な人々は何度も日本に来ており、中国人と日本人の美意識のすり合わせがかなり速いスピードで現在進んでいるのではないだろうか。
彼らが最近良く口にする「東方美学」が具体的に何を指すのか、それを日本人はどう考えるのか、実作を重ねた先に見えてくるだろう。それまで私達は日本庭園を変化させながらつくり続けなければならない。
戸田 芳樹
写真提供:明懿設計
撮影:刘松恺

喫茶室への入り口も和風の小さな空間

部屋から南庭全体を眺める

中央が蓬莱島。左に亀島、右に鶴島

周囲の山並みを借景して庭に取り込む

庭園の周囲を散策する園路

鶴島を室内より見る

背景の山をバックにした大振りな水鉢









